「糖質制限と脂質制限どちらが効果あるんですか?」
カウンセリングでよくある質問です。
初めに答えをいうと、効果は同じです。
効果を出すためには、糖質量を極端に減らす、脂質量を極端に減らすと振り切ることが重要になります。
低糖質では極端に糖質を少なくることが重要です。これは、ケトジェニックといって体脂肪をエネルギーとして使いやすくする“スイッチ”を入れるイメージです。
また、低糖質中は脂質を多くとる、逆に低脂質中は糖質を多く摂ることが、筋肉を削らない為に重要なポイントです。
糖質制限と脂質制限、痩せるのはどっち?
効果は同じですが
根拠としてスタンフォード大学の研究をご紹介します。
エビデンス*1
内容
太りすぎの成人609人を対象。低脂肪(HLF)食と、健康的な低炭水化物(HLC)食の体重の変化
期間
12か月
結果
低脂肪ダイエットグループ -5.3 kg
低炭水化物ダイエットグループ -6.0 kg
原則として、人間の身体は食べるエネルギーと、動かすエネルギーの差で太ったり痩せたりします。
下の表をご覧ください。
参考*2
摂取量 > 消費量 オーバーカロリーなら太る
摂取量 = 消費量 現状維持
摂取量 < 消費量 アンダーカロリーなら痩せる
これがないと、多種多様な食生活を送っている人々が、生き延びる理由の説明ができませんよね。
イヌイットと昔の日本食
伝統的なイヌイットの食生活は狩猟によって得た、生肉タンパク質と脂質が中心でした。
一方、1960年の日本では、炭水化物中心に摂取していました。
炭水化物
日本76.4%
イヌイット8~30%
脂質
日本15%~
イヌイット40%
低糖質食のイヌイットと、低脂質食の当時の日本人を比べると、両方とも肥満は少なかったと言われています。
ちなみに1950年の日本の平均糖質摂取量は、411グラムで、
お茶碗1杯(100g)で35.6gで計算すると10杯以上です。
今だったら絶対太るといわれますよね。これは脂質の摂取量が関係しているといえますし、活動量の低下も大きく影響しています。
糖質制限ダイエットのメリット
糖質制限ダイエットは、ダイエット初期に体重が落ちます。
原因は身体の水分が減るからです。糖質が身体に蓄えられる際にグリコーゲンとして筋肉と肝臓にたくわえられます。その際に引き寄せる水分は570g~1650g(1.65k)。
個人差がありますがグリコーゲンが減少することにより、水分量だけで2k以上もストンと体重が減る方もいます。けれどもこれは、脂肪が落ちたわけではないので、体重が減った、というだけです。
脂質制限ダイエットのメリット
脂質制限は筋肉の修復に有利です。
それは糖質を摂取できるからです。運動をすることによって筋肉の一部が損傷しますが、それを回復させるためにもエネルギーが必要となります。
必要量の炭水化物を摂取することで、効率よくカラダづくりをしていくことが出来ます。
筋肉を付けるために最も有効なホルモン、インスリンが分泌されることも利点です。
糖質制限中の身体
一定の期間糖質制限をすると、糖質が足りなくなってエネルギーとして使えなくなります。すると体内では体脂肪を分解して必要なエネルギーをつくります。
脂肪はそのままだとエネルギーとして活用できないのでケトン体に変換することで、エネルギーとして使えるようになるというわけです。
このケトン体の効果が最大限に出るのが糖質制限を始めてから2週間以降と言われています。
脂質制限中の身体
脂質制限中は、糖質を多くとります。糖質は直接身体のエネルギーとなるので、トレーニングに支障が出ることが少ないですし、日々の生活もストレスが少なくおくれます。
基本的なカロリーを制限した方法ですが、デメリットもあります。
それは選択できる食事が限られるということです。ささみと白米、鳥の胸肉と玄米などがイメージしやすいですね。
交互に行うことにより停滞期を打破できる
人間の身体は、ホメオスタシス(homeostasis)といって、身体の変化を拒み一定の状態を維持しようとする働きがあります。体温もそのひとつで、体重にもこの働きがあります。
この体重を維持しようとする働きを、糖質制限と脂質制限を変えることにより打破できます。
交互に行うことにより、身体が慣れない状態をつくることができる為です。
具体的にには、2カ月をめどに変えます。
停滞期に関しては、体温で停滞期を察知するという方法もあります。
具体的なPFCの割合
P(タンパク質)F(脂質)C(糖質)
カロリーはP:4kcal、F:9kcal、C:4kcal です。
糖質制限のPFC
P:30% F:60% C:10%
コンビニ食でのイメージ(セブンイレブン)
脂質制限のPFC
P:30% F:10% C:60%
コンビニ食でのイメージ(セブンイレブン)
タンパク質は不足しないように
低糖質も低脂質もタンパク質は同じ量を摂ります。
総カロリーの30%をタンパク質と設定していますが、この量は意識して多く摂らなければまかなえない量です。
タンパク質は筋肉はもちろん、骨、臓器から髪の毛や爪にいたるまであらゆる体づくりに使われる栄養素です。その他、体を機能的にはたらかせるためのホルモン、酵素、体を守るためにはたらく免疫体をつくる材料になっています。
このようにタンパク質は体の機能を維持するためにも欠かせないものです。
典型的な日本人の食事には少なくなる傾向がある事と、ダイエット期は不足することがないように特に気を付けたいですね。
最後に
ダイエットの効果は、低糖質も低脂質も変わらないと言えるでしょう。
2つの方法を一定期間行う利点は、交互に行うことにより停滞期を打破することができます。
また、数カ月でも経験して“コツ”を覚える事により、例えば毎年夏前に絞る→冬は緩める、などのメリハリがでて一生涯に渡る健康的な食生活がおくれます。
ここまで言っておいてなんですが、短期間に体重を落とす目的以外、両方おすすめしません。どちらも経験しているから言えますが、身体も心も大変負担になります。
基本的には長期的に見たダイエット方法をおこなっていきましょう。
* 2
How We Get Fat